今では主流になっている田の字プランとは全く異なった間取り
ひと昔前のマンション不動産はドアを開けたらすぐ台所やリビング
①過去三年間に、優良な高層共同分譲住宅の供給実績をもっていること②過去に、法令違反、建設地の周辺住民との紛争、購入者との契約上のトラブルがなかったこと③経営の内容が良好であり、かつ、金融取引の面での信用があること④住宅の良好な維持管理の運営と指導ができることさらに「優良な業界団体に所属していること」というのが実質的な判定基準になり、その団体として日本高層住宅協会、不動産協会、日本分譲住宅協会(現、日本ハウスビルダー協会)の三団体が記されている。
また、分譲価格が七〇〇万円という公庫の制限内で購入できる物件として、右の『マンション60年史』には、『月刊高層住宅』一九七〇年四月号(有朋社)誌上で紹介された標準的間取りが再掲載されている。それが図表31②だ。これを見ると、玄関ドアを開けるといきなり台所や食堂、居間が目に飛び込んでくるものが多いのに、改めて驚く。食事中に不意の来客があったときに丸見えである。
こうしたゾーニングや動線計画は、これほど露骨ではないにしろ、公団が採用したDKプラン(第2章)にも見ることができるし、民問分譲マンション第一号とされる四谷コーポラスでも同様だ。家族が食事をしているところを見られるのは恥ずかしいことではない、むしろ戦後民主主義体制下における、開放的で民主的な家族の象徴といわんばかりだ。そういえば当時は『ララミー牧場』や『名犬ラッシー』など、米国製のテレビドラマや西部劇が日本の茶の間に多数流されており、その舞台である家の間取りも玄関近くに台所・食堂が位置していたように記憶する。
さらに、洋室が並んでいるので、リフォームする際にはひと部屋にしたり三室に仕切ったりするなど柔軟性がある。階段室型のメリットばかり挙げたが、デメリットもある。外廊下型に比べると階段やエレベーターのスペースが余分にかかり、販売床面積が減ってしまう、建築コストがかさむ、エレベーターなどの管理費や修繕費がかかるなどだ。
また、これは個々人の性格にもよるが、隣接する住戸と同じアプローチを利用するので、顔を合わせる機会が増え、それがストレスを生むとの指摘もある。逆にこのアプローチを利用する人は限られているので、不審者の侵入を未然に防ぐ効果があるともいわれる。第1章で八〇年代前半(昭和五十年代後半)のマンションは「輝いていた」と述べたが、そのころはこうした階段室型の間取りをはじめとして、効率性よりも居住性を重視したものが多く見られたのである。
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